1. 最近の報道から
皆様、ご無沙汰しております。とも葉くんです
今回は最近のニュースで気になったことを綴りたいと思います。
最近、介護施設の元職員が入所者に暴力を加え、入所者が死亡するという事件が報じられました。施設名は伏せますが、このようなニュースを目にして「またか…」「最近多いな…」と感じる方も少なくないと思います
もちろん、暴力はどのような理由があっても許されるものではありません
ただ一方で、こうした事件の背景には介護現場を取り巻く課題があるのではないか、と私は考えています
2. 制度的な課題(私の見方)
ここからは「個人的な考え」として整理してみます
☛ 人員配置基準の限界
特養の職員配置は「要介護者3人に対し職員1人」が基本
しかし実際には認知症や医療的ケアが必要な方が多く、配置基準を守っていても現場は常にギリギリになりがちです
☛ 人材不足の深刻化
- 介護職の有効求人倍率は 3.05倍(2023年度、全職種平均は1.3倍前後)
- 求職者1人に対し求人が3件以上ある状態で、どの施設も人手確保に苦労しています
☛ 離職率の高さ
- 介護職員の離職率は 14.9%(2022年度)
- 数字だけ見れば全産業平均と大きな差はありませんが、短期離職が多い点が特徴で、定着が難しいと感じます
☛ 処遇と教育の課題
- 厚労省の統計によると、2024年の常勤介護職員の平均給与は月額33万8,200円 です
- 一方、全産業平均は約42万1,700円であり、約8.3万円の差があります
- 年収に換算すると、介護職は約396万円、全産業平均は約507万円と、約110万円の差が残っています
- 処遇改善加算の効果で近年は改善傾向にありますが、他産業の賃上げも進んでおり、格差は依然として埋まっていない状況です
- 背景には、介護報酬制度の上限による収益制約や、加算を十分に取得・運用できない施設差があると考えられます
- また、2024年度から虐待防止研修は義務化されましたが、ストレス対処や倫理教育の実効性は施設ごとの差が大きいと感じます
3. まとめ
今回の事件を「一部職員のモラルの問題」として片付けるのは簡単ですが、
☛ 人員配置の限界
☛ 慢性的な人材不足
☛ 処遇や教育体制の不足
こうした課題が背景に重なって、現場リスクを高めているのではないかと考えています
次回は「なぜここまで人手不足が深刻化しているのか」という点を掘り下げたいと思います
📚 参考書類・記事
- 厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」(2024年公表)
- 厚生労働省「令和4年度 介護労働実態調査」
- 厚生労働省「介護分野における有効求人倍率」統計(2023年度)
- 朝日新聞デジタル「介護施設での虐待、過去最多856件 8人死亡」2023年7月
- 毎日新聞「Elder abuse cases in Japan hit record 17,455 in FY2023」2025年8月4日
- 日本経済新聞「介護職員の給与、全産業平均より月6〜7万円低い」2024年記事
🖼 本記事のイラストは イラストACより引用しています。

とも葉くん
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