はじめに
皆さん、お世話になっております。とも葉くんです
前回に引き続き、今回も 介護現場にとって避けては通れないテーマ を一緒に考えていきたいと思います
──「人手が足りない」
──「求人を出しても応募が来ない」
──「残業が増えて職員が疲弊している」
こうした声は、どこの施設でも耳にするのではないでしょうか
実際、介護分野の有効求人倍率は 全産業の約3倍以上。人材不足は、もはや一つの施設の問題ではなく、社会全体の構造的課題となっています
そこで今回は、厚生労働省の見解や制度背景をもとに、
「なぜここまで人手不足が深刻化しているのか」
「その中で、管理者や現場はどう動くべきか」
を整理しました
1. 人手不足の現状
- 厚労省推計:2019年度約211万人 → 2025年度約243万人 → 2040年度約280万人が必要
- 毎年数万人規模での人材確保が求められる
現場でのポイント
→ 「人を増やす」前提から「今いる人で安全と質を守る」仕組みへ
→ 不要業務の削減と役割分担の明確化が必須
2. 少子高齢化と介護需要の増大
- 団塊世代が75歳以上となる2025年以降、要介護認定者は急増
- 複合疾患や認知症を併発する利用者が増え、ケアは一層複雑化
現場でのポイント
→ 「重度化予防」 を全員の共通目標に据える
→ 小さな変化に気づき、生活機能を維持する工夫を日常ケアに取り入れる
→ 「一人でも要介護度を上げない」ことが最も現実的な人材不足対策
3. 処遇・待遇の課題
- 介護職の給与は全産業平均より月額6〜7万円低い
- 処遇改善加算はあるが「実感できない」との声が多い
現場でのポイント
→ 管理者は「給与以外の満足度(休暇・研修・キャリア支援)」を高める
→ 加算の還元状況を可視化し、納得感を持たせる
4. 業務負担と精神的ストレス
- 身体介助・夜勤・家族対応・記録など、負担は多層的
現場でのポイント
→ ICT・見守り機器を導入し、効果を数値や事例で共有する
→ 相談ルートを明確にし、孤立感を防ぐ
→ 「働きやすさ」を実感できる仕組みを整備する
5. 離職率と定着の難しさ
- 離職率は13%台と全産業並みだが、介護現場では連鎖的退職が起こりやすい
現場でのポイント
→ 新人支援体制を明示化し、孤立させない
→ ベテランには「教育負担」だけでなく「評価・表彰」で動機づけを
→ 小さな成功事例を共有し、やりがいを可視化する
6. 社会的評価とイメージの問題
- 「3K(きつい・汚い・危険)」のイメージが強く、志望者が集まりにくい
現場でのポイント
→ 成功事例ややりがいを積極的に外部発信。
→ 地域や家族に「介護の専門性」「人生を支える仕事の意義」を伝える広報活動を強化
7. 社会保障制度からの視点
- 介護給付費は年々増加し、2022年度は約12兆円。財源には限界がある
現場でのポイント
→ 制度は「効率化」「自立支援」を前提に設計されている
→ 管理者は加算や報酬改定を的確に理解し、最大限活用する
→ 職員に「制度の目的=利用者の自立支援・社会の持続性」を共有し、仕事の意義を実感できるようにする
まとめ
介護人材不足は単なる「人がいない」問題ではなく
- 少子高齢化
- 処遇・待遇
- 業務負担
- 社会的評価
- 財源制約
といった複数の要因が絡む 構造的課題 です
管理者は制度活用と体制整備を、現場は重度化予防とやりがい共有を
この両輪こそが、持続可能な介護現場を支えるカギになります
参考文献・参考ページ
- 厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」
mhlw.go.jp - 厚生労働省「労働経済白書 介護分野の人材不足と取組」
mhlw.go.jp - 長寿科学振興財団「介護人材不足の現状」
tyojyu.or.jp - マイナビ介護職「介護人材不足の推移と見通し」
global-saponet.mgl.mynavi.jp - 介護DX推進協会「介護人材不足の背景と解決策」
kaigodx.com
🎨 使用イラスト
- アイキャッチ画像:イラストAC(https://www.ac-illust.com/)より

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