皆さま、お葉っぴー( *´艸`)とも葉くんです🍃
「人が最も成長する瞬間は、どんな時だと思いますか?」
多くの人は「研修」や「勉強」を思い浮かべますが
実はそれは全体のわずか一部にすぎません
人の成長を長年研究してきたアメリカの人材開発専門家 マイケル・ロミンガー らの調査によると、人の学びは次のような割合で構成されているそうです
📊 70:20:10の法則(ロミンガーの法則)
| 割合 | 学びの源泉 | 内容の例 |
|---|---|---|
| 70%:経験(Experience) | 日常の仕事・挑戦・失敗 | 新しい業務への挑戦、現場での問題解決、失敗からの学び |
| 20%:他者との関わり(Exposure) | 上司・同僚・メンターなど | アドバイス、フィードバック、相談、観察など |
| 10%:形式的な学び(Education) | 研修・読書・講義など | セミナー、資格勉強、書籍などからの学び |
この考え方は 「70:20:10モデル(The 70:20:10 Model)」 と呼ばれ
米国の人材開発機関 Center for Creative Leadership(CCL) による調査(Lombardo & Eichinger, 1996)に基づいています
リーダーや管理職に「あなたの成長に最も影響を与えたのは何ですか?」と尋ねたところ
多くの回答が「実務経験(70%)」だったことから、この法則が提唱されました
💡 なぜ経験が7割を占めるのか?
経験には、自分の頭と体で考える“生きた学び” が詰まっています
本や講義で得た知識は「知っていること」にすぎません
しかし、実際に行動してみて、うまくいかないことに直面し
そこから学び直すことで「できること」に変わっていきます
心理学でも「体験学習理論(David Kolb, 1984)」として知られるように
人は「体験 → 振り返り → 理解 → 実践」というサイクルを繰り返すことで深く学ぶとされています
🤝 20%の“人からの学び”が意外と大きい
上司の一言、同僚の工夫、友人の考え方──
人との関わりは、自分では気づけない視点をもたらしてくれます
職場での1on1や雑談、家庭での助言など
“対話”の中で得られる小さな気づきが、実は大きな学びにつながるのです
研究でも「社会的学習(Social Learning)」は成長に欠かせない要素とされ
Albert Bandura(1977)の社会的学習理論では
人は“観察と模倣”によっても多くを学ぶと説明されています
📚 10%の勉強が“地図”になる
一方で、研修や読書、講座といった形式的な学びは
知識を体系的に整理し、自分の経験を理解するための「地図」のような存在です
勉強だけでは前に進めませんが、勉強がなければ自分の位置が分からない
つまり、10%の学びがあることで、残りの90%の経験や人間関係がより意味を持つのです
🌱 毎日の中に「70:20:10」を取り入れてみよう
たとえば、明日からこんな工夫を意識してみましょう
- 70(経験):いつもの仕事で「新しいやり方を1つ試す」
- 20(人):同僚に「今日の仕事どう思う?」と聞いてみる
- 10(勉強):通勤中に本を10分だけ読む
たったこれだけでも、日常が「学びの場」に変わります
大切なのは、“学ぶ時間を作る”ことよりも、“日常から学ぶ視点を持つ”こと
🔎 まとめ:「成長は日常の中にある」
ロミンガーの法則は「どの割合が正しいか」を示すものではありません
むしろ、「成長の多くは教室ではなく日常にある」という気づきをくれる考え方です
研修がなくても、上司が厳しくても
経験を振り返り、人の言葉に耳を傾け、少しずつ前へ進む
その繰り返しこそが、最も確かな自己成長なのだと思います
参考文献(オンラインでアクセス可)
- Center for Creative Leadership. “The 70-20-10 Rule for Leadership Development.” https://www.ccl.org/articles/leading-effectively-articles/70-20-10-rule/
- 70:20:10 Institute. “The 70:20:10 Model.” https://702010institute.com/702010-model/
- 中原淳(2013)「経験学習の理論的系譜と研究動向」『日本労働研究雑誌』2013年10月号(No.639)。PDF:https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2013/10/pdf/004-014.pdf
- 石倉篤(2016)「Kolbの体験学習のモデルと理論に対するMiettinenの批判の検討—ラボラトリー・トレーニングの文脈で—」『人間関係研究』15。PDF:https://rci.nanzan-u.ac.jp/ninkan/publish/item/15_03_01.pdf
- (周辺資料)特集号目次:『日本労働研究雑誌』2013年10月号No.639 https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2013/10/
🎨 使用イラスト
- アイキャッチ画像:イラストAC(https://www.ac-illust.com/)より

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